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エッセイブログ / やまだみのる

最澄の一碑立ちたる雪間かな

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最澄の一碑立ちたる雪間かな  みのる

私達夫婦の仲人をしてくださった丹波在住の老夫妻が雪深い山裾の施設に入所されたと聞き、雪解けの春を待って家内と二人で訪ねました。

ご主人は気骨のある人格者でしたが、既に認知の気配があり老いは人となりまでも変えてしまうのかと思うほどの変わりようでした。

あれこれと繰言の聞き役を果たしたあと祈って辞しましたが心が曇りました。

その帰路、マイカーの窓越しに鄙びた一末寺の門前に建つ「一隅を照らす」と太く彫られた碑を見つけたのです。

大股歩きで雪間を辿って近づき、刻まれた碑の文字に対峙していると何となく塞いでいた胸の内に光がさしたような不思議な平安を覚えたのを思い出します。

比叡山延暦寺のホームページを見てみると「真心を尽くす」というタイトルで説法が記されていました。

延暦寺を開かれた伝教大師最澄上人は、この世の全ての人びとが安泰(平和)で幸せであるようお祈りをなされながら、「一隅を照らす、これ即ち国宝なり」という教えを示されて、自分が世間の目立たない処に在っても、又自分の力が目立たない力でも真の心に努め、尽くすことの大切さを説かれ、そのような人を国の宝として比叡山で育てるよう教えを残された。

とあり、最後に

思いやりやいたわりのある行動や言葉は清々しく尊いものです。真の心、本物の心が現れた生き方、誰もが納得して喜んでいただける優しさと温もりを感じる行動と態度、言葉でこの一年の日々を過ごしたいものです。

と結ばれています。

真心を尽くす…という理念は、仏教もキリスト教も関係なく人としての正義なのだと思う。

 

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