大仏の御手をこぼれて寒雀
大仏の御手をこぼれて寒雀 みのる
四温晴の一と日を得て佳句を授からんと能福寺の兵庫大仏を訪ねた。
身の丈11m、青空を背に堂々とそびえるそれは日本三大仏の一つと称される。
青銅製と聞くが日に映えた全身は白がねのようだ。
膝の上に置かれた大きな御手の窪のなかで寒雀たちが賑やかに遊んでいる。
境内の大地を啄んでいる彼らは警戒心が強く近づくとすぐに散ってしまうが、大仏の御手の中に守られていると知ってか安心しきってはしゃいでいるのだ。
その姿は造り主なる神を賛美しているかのようにも見えた。
一羽のすずめに目を注ぎ給う主は、われさえも支え給うなり。
「一羽のすずめ」という賛美歌の一節である。
自らの知恵や力に頼んでも避けることが出来ない難はある。
試練と受けいれて戦うしかない。
災いを恐れて汲汲とした日々を生きるよりも、私たちを強くしてくださる方の支えを信じ、委ねて希望に生きるほうが遥かに尊いことだよ…
と教えられた気がした。
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