無為といふ至福の時間日向ぼこ
無為といふ至福の時間日向ぼこ みのる
星野富弘さんの詩には不思議な癒やしの力があると思う。私たちは若くして身体的に大きな障害を背負われた星野さんの境遇を知っている。そういう先入観で詩を鑑賞するからだらだろうか。いや、そうではないと思う。
順風満帆、幸せを感謝するのは誰でも出来ることだけど、逆境にあってもそこから希望を見出して感謝することができる。たとい手足は動かなくとも生かされていることに意義を見出してそれを喜ぶことができる。深い深い絶望の淵でキリスト教信仰と出会い星野さんの中の価値観、世界観が180度変わってしまったのである。
私たちが日々大切だと考えているものが星野さんの価値観から見れば大した意味はなく、どうでもよいことなのだ。私たちの心の裏側に隠されて見えなかったその真理に気付かされるから星野さんの詩に癒やされるのだと思う。
つまらない拘りを捨てて素直になれれば、もっともっと楽しく生きられるのにと自戒しつつ、
“そんなに簡単なことではないよ”
と、ささやくもう一人の自分と戦っている。
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