四時随順

エッセイブログ / やまだみのる

  • 舎利塔の霊やすかれと山粧ふ

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    舎利塔の霊やすかれと山粧ふ  みのる

    JR広島駅の北側に見える二葉山の仏舎利塔は1966年(昭和41年)世界の恒久平和を念願し、原子爆弾の犠牲者の冥福を祈るために建立されたという。とても特徴的な形をしていて紅葉した山の頂上に白銀のごとく尖る姿はとても印象的だ。

    あの日から六十数年というときを経て街の風景や自然もすっかり復興した。昭和後期、平成と平穏な時代がつづき、この平和は永遠につづくものだと思うくらい幸せだったのに、昨今の世界情勢を見聞きしていると俄に不安が募る。

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  • 松天へ傾ぎ紅葉は池の面へ

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    松天へ傾ぎ紅葉は池の面へ  みのる

    俳句の学びを初めて七年が過ぎたころ紫峡先生から男性だけの吟行句会を発足せよとの指示が出ました。手元の資料を調べてみると平成二年二月に須磨離宮公園で第一回涼風句会が行われています。紫峡先生64歳、みのる47歳、いまから27年前のお話です。

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  • 紅葉燃ゆ平和を祈る碑に

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    紅葉燃ゆ平和を祈る碑に  みのる

    池田市久安寺にあるこの碑には次のように彫られている。

    『閃光の記憶に鶴を折りつづけ』

    俳句として詠まれたものかどうかは定かではありませんが素直な17文字で綴られたこの詩、あなたならどのように鑑賞されますか。

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  • 無為といふ至福の時間日向ぼこ

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    無為といふ至福の時間日向ぼこ  みのる

    星野富弘さんの詩には不思議な癒やしの力があると思う。私たちは若くして身体的に大きな障害を背負われた星野さんの境遇を知っている。そういう先入観で詩を鑑賞するからだらだろうか。いや、そうではないと思う。

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  • 枯蟷螂睨むまなこはエメラルド

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    枯蟷螂睨むまなこはエメラルド  みのる

    ゴキブリだけはどうしても好きになれないけれど、昆虫類は大好き。

    小学生の頃、蚕を飼って毎日桑の葉を与えて世話をしたり柑橘類の葉に見つけた揚羽蝶の幼虫を育てたりしたのが懐かしい。絶滅を危惧されているゲンゴロウやタガメも健在だった。彼らの生涯はとても短いけれど環境や生存競争と戦いながらその日その日を健気に生きている。こんな小さな命をも神が創造し生かされているのだと思うと命の尊厳を深く深く思う。

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