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紅葉燃ゆ平和を祈る碑に
紅葉燃ゆ平和を祈る碑に みのる
池田市久安寺にあるこの碑には次のように記されている。
『閃光の記憶に鶴を折りつづけ』
俳句として詠まれたものかどうかは定かではありませんが素直な十七文字で綴られたこの詩、あなたならどのように鑑賞されますか。
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大仏の御手をこぼれて寒雀
大仏の御手をこぼれて寒雀 みのる
冬晴の一と日を得て佳句を授からんと平清盛ゆかりの能福寺兵庫大仏を訪ねた。
身の丈11m、青空を背に堂々とそびえるそれは、奈良、鎌倉とともに日本三大仏に数えられる。青銅製と聞くが日に映えた全身は白がねのようだ。
膝の上に置かれた大きな御手の窪のなかで寒雀たちが賑やかに遊んでいる。
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道化師の長き睫毛に風花す
道化師の長き睫毛に風花す みのる
繁華街の交差点でピエロの扮装をしたサンドウイッチマンがポルノ映画のプラカードを担いで立っていた。
当時はバブル景気が一気に弾けて失職する人も多かったので彼もその一人であったかも知れない。
突然狂おしく舞いだした風花が、彼の長いつけ睫毛に留まったのを見て一瞬滑稽だなと感じて立ち止まった。
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猫の目のごとくに冬日ひろがりぬ
猫の目のごとくに冬日ひろがりぬ みのる
昭和25年、私が小学1年生のころ「たま」と名づけた茶トラ猫を飼っていた。
野良の子猫が屋根から降りられなくなって鳴いているのを見つけたので、近所のおじさんに頼んで梯子で助けてもらったのだ。
これが「たま」との出会いであった。
両親に姉二人兄一人と末っ子の私の6人家族、戦後の貧しい生活の中で兵隊経験のある厳格な父がなぜ仔猫を飼うことを許してくれたのかはよく覚えていない。
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門波蹴散らせていかなご船戻る
門波蹴散らせていかなご船戻る みのる
播磨灘のいかなご漁は春の風物詩とも言われ、毎年2月下旬から解禁となる。
関西では、この時期になるとどの家庭でも旬のいかなごを炊いて、地方に住む家族や親しい友人たちにプレゼントする…という昔ながらの習慣がある。
ところが昨今は不漁続きで驚くほどの高値がつくようになり、不本意ながら断念する家庭も増えているという。
地球温暖化のせいなのかそれとも乱獲の影響なのかはわからないけれど、なんとかならないものかと気をもむ。
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