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紅葉燃ゆ平和を祈る碑に
紅葉燃ゆ平和を祈る碑に みのる
池田市久安寺にあるこの碑には次のように記されている。
『閃光の記憶に鶴を折りつづけ』
俳句として詠まれたものかどうかは定かではありませんが素直な十七文字で綴られたこの詩、あなたならどのように鑑賞されますか。
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利酒に御代りはなし蔵めぐり
利酒に御代りはなし蔵めぐり みのる
二月の吟行句会に備えて灘五郷の酒蔵を下見した。
阪神電車の魚崎駅を降りて、お目当ての菊正宗酒造記念館まで「清流の道」と名づけられた住吉川沿いの堤を歩く。
まだ水量は少なかったけれど亀甲模様に敷かれた川底の石畳をさ走る小気味良い水音は、さながら復活の春を賛美しているようだつた。
開館時間まで少し間があったので酒造記念館の前で待っていると大型バスから降りてきた韓国人と思われる団体が賑やかに到着、なんだか圧倒されてしまって思わずあとづさりしてしまった。
館内の受付のお嬢さんの話では最近は日本人の見学者はほとんどなく韓国からの観光客がほとんどだという。
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ミサの鐘ひびき黄落急ぎけり
ミサの鐘ひびき黄落急ぎけり みのる
公園の散歩道にある公孫樹並木もすっかり葉を落として青空が透けている。
燃えるような名所の紅葉も悪くはないけれど、目立たない静かな場所で人知れず散りつぎながら大地を覆っていく黄落の風情のほうが私の好みです。
散っても散っても尽きることがないかと思われるころが一番美しく、日ごと疎になっていく梢をうち仰いでいると季節の移ろいを実感するからです。
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舎利塔の霊やすかれと山粧ふ
舎利塔の霊やすかれと山粧ふ みのる
JR広島駅の北側に見える二葉山の仏舎利塔は1966年(昭和41年)世界の恒久平和を念願し、原子爆弾の犠牲者の冥福を祈るために建立されたという。とても特徴的な形をしていて紅葉した山の頂上に白銀のごとく尖る姿はとても印象的だ。
あの日から七十数年というときを経て街の風景や自然もすっかり復興した。
昭和後期、平成と平穏な時代がつづき、この平和は永遠につづくものだと思うくらい幸せな日々であったのに、令和の時代になった今日の世界情勢を見聞きしていると俄に不安が募る。
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秀つ枝洩る日矢諸共に黄落す
秀つ枝洩る日矢諸共に黄落す みのる
キリスト教の教会では今日からアドベント(待降節)といってこの日からクリスマスまでがイエス・キリストの降誕を待ち望む期間となる。キリスト教徒でない人でも、宗教信仰とは全く無関係に、単なる “今日は楽しいクリスマス” 一色になる現象はおかしいという人もいるかもしれないけれど世間ではそんなことを言う方が異常と言われるまでに定着してしまった。
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