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ミサの鐘ひびき黄落急ぎけり
ミサの鐘ひびき黄落急ぎけり みのる
公園の散歩道にある公孫樹並木もすっかり葉を落として青空が透けている。
燃えるような名所の紅葉も悪くはないけれど、目立たない静かな場所で人知れず散りつぎながら大地を覆っていく黄落の風情のほうが私の好みです。
散っても散っても尽きることがないかと思われるころが一番美しく、日ごと疎になっていく梢をうち仰いでいると季節の移ろいを実感するからです。
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舎利塔の霊やすかれと山粧ふ
舎利塔の霊やすかれと山粧ふ みのる
JR広島駅の北側に見える二葉山の仏舎利塔は1966年(昭和41年)世界の恒久平和を念願し、原子爆弾の犠牲者の冥福を祈るために建立されたという。とても特徴的な形をしていて紅葉した山の頂上に白銀のごとく尖る姿はとても印象的だ。
あの日から七十数年というときを経て街の風景や自然もすっかり復興した。
昭和後期、平成と平穏な時代がつづき、この平和は永遠につづくものだと思うくらい幸せな日々であったのに、令和の時代になった今日の世界情勢を見聞きしていると俄に不安が募る。
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無為といふ至福の時間日向ぼこ
無為といふ至福の時間日向ぼこ みのる
星野富弘さんの詩には不思議な癒やしの力があると思う。
若くして大きな障害を背負われた星野さんの境遇を私達は知っている。そうした先入観で鑑賞するからそう感じるのだろうか。いや、そうではないと思う。
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枯蟷螂睨むまなこはエメラルド
枯蟷螂睨むまなこはエメラルド みのる
ゴキブリだけはどうしても好きになれないけれど、昆虫類は大好き。
小学生の頃、蚕を飼って毎日桑の葉を与えて世話をしたり柑橘類の葉に見つけた揚羽蝶の幼虫を育てたりしたのが懐かしい。
絶滅を危惧されているゲンゴロウやタガメも健在だった。彼らの生涯はとても短いけれど環境や生存競争と戦いながらその日その日を健気に生きている。こんな小さな命をも神が創造し生かされているのだと思うと命の尊厳を深く思う。
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万歳をして黄落を浴びる子ら
万歳をして黄落を浴びる子ら みのる
いつごろからだったろうか、何となく大人の人付き合いが苦手だと感じるようになった。でも、幼い子供たちは大好き。
声をかけるとすぐに反応してくれるし、お喋りしていると心の中が浄化されていくようなそんな気持ちがする。
そして何よりも子どもたちの発見や好奇心に教えられることが多い。
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