四時随順

俳句とエッセイ / やまだみのる

  • 新幹線迅し枯野をニタ分けに

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    新幹線迅し枯野をニタ分けに  みのる

    いまから三百数十年まえ、俳聖芭蕉は、『旅に病んで夢は枯野をかけ廻る』と詠んでいます。命を賭して旅し諸国を行脚した芭蕉翁や西行法師の時代に思いを馳せると、まさしく「隔世の感」と言わざるを得ません。

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  • 落葉掃く寒山拾得子の気分

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    落葉掃く寒山拾得子の気分  みのる

    今日は温かい小春日和になったのでみのる庵の狭庭の落葉掻きをした。しばらく留守にしていたり雨が降ったりで、バードバスの中も堆く落葉が…

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  • 土に帰す花柊のこぼれかな

    柊

    土に帰す花柊のこぼれかな  みのる

    暖かい冬の日に誘われて外に出てみると庭隅の柊の花は早や散りそめていて、その足下の土を白く染めている。うち屈んで近づくとこぼれ花のほのかな香りが伝わってきて心地よい。

    私たちの肉体もやがては朽ちて土に帰っていくことと思うけれど、召しのあるその時までキリストのよき香りを放つものでありたいと願う。

  • 時計台聖夜の針を重ねけり

    時計台

    時計台聖夜の針を重ねけり  みのる

    聖歌隊が「ハレルヤ」と歌いおさめるとやがて手に手にペンライトを持ってキャロリングに出発する。星空高く聖夜を刻む天文台の大時計を仰ぐととても満たされた気分になり手足の悴むのも忘れる。

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  • 玻璃窓をノックしてをる冬芽かな

    冬芽

    玻璃窓をノックしてをる冬芽かな  みのる

    粗大ゴミにはなりたくない…と思いつつ、家内が掃除を始めると何となく居心地が悪くなる。

    自宅から車で10分ほどの距離に須磨浦公園がある。家に篭っていたのでは俳句が出来ないと勇んで吟行に出たものの冷たい海風が容赦なく吹き付け結局1時間と持たずに異人館風の観光ホテルへエスケープ。あつあつの甘酒をすすりながらようやく一息ついた。窓の外には桜木立があるが、今はすっかり裸木となってその梢越しに須磨の海が展けている。白い三角波が風に立ち騒ぎ万の白兎が跳んでいるようだ。

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