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炉の埃天井遊泳して落ちず
炉の埃天井遊泳して落ちず みのる
真っ白な仙人髭をたずさえたあるじは卆寿だという。
ダム建設で水底となる旧家が移築され千年家史跡として公開されている。煤光りする大きな梁、両手で一抱えしても足りないほどの大黒柱、その柱についている刀傷には謂れがあるという。 広い板畳の部屋の真ん中には泰然と大炉があって、いにしえの生活ぶりを偲ばせてくれる。
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おでん酒企業戦士の彼悼む
おでん酒企業戦士の彼悼む みのる
突然の訃報に思わず神様を疑った。
俳句仲間で親友だった彼は銀行勤めで一歳年下。企業の泥戦の中で毒されているぼくに比べて真面目で誠実な彼の性格は一服の清涼剤のような存在であった。 バブル景気がはじけてから仕事が大変になったらしくほとんど会えなくなり、やがて不良債権処理のために故郷の四国へ転勤になったという情報が入ったのも人伝えであった。
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