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大秋晴水平線の撓みけり
大秋晴水平線の撓みけり みのる
今朝の須磨浦は、波の子もなく洋々とした景を展けている。
底抜けに澄んだ青空が広がり一点の穢れもない。 海はまたその色を映して深い深い藍を湛えている。紛れもなく大秋晴。 工業化でスモッグが立ちこめる瀬戸内では一年を通じてはっきりと水平線を認められる日は滅多にない。だがこの日 は実に180度のパノラマで見渡せるのだ。
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端居して一雨ほしき夕べかな
端居して一雨ほしき夕べかな みのる
結婚して子供が産まれて、そしてマイホームを建てた。
高度成長期であったから不安はなかったけれど教育費や住宅ローンの返済のために働いているようなもの。悪戯に忙しい日々を重ねるだけの人生で満足なんだろうか黄昏どきになると何となく心が落ち着かず虚しさが募ってくる。
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緑蔭の棋士は王手をさしにけり
緑蔭の棋士は王手をさしにけり みのる
遊歩道のあちこちに「非核宣言都市」と書かれた白い標が立っている。
爆心地であった広島の平和公園は緑が生い茂り、市民の憩いのオアシスとなっている。被災者の冥福を祈って植樹された一樹一樹もいまは大樹となってよき緑蔭をつくっている。
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玻璃窓をノックしてをる冬芽かな
玻璃窓をノックしてをる冬芽かな みのる
粗大ゴミにはなりたくない…と思いつつ、家内が掃除を始めると何となく居心地が悪くなる。
自宅から車で10分ほどの距離に須磨浦公園がある。家に篭っていたのでは俳句が出来ないと勇んで吟行に出たものの冷たい海風が容赦なく吹き付け結局1時間と持たずに異人館風の観光ホテルへエスケープ。あつあつの甘酒をすすりながらようやく一息ついた。窓の外には桜木立があるが、今はすっかり裸木となってその梢越しに須磨の海が展けている。白い三角波が風に立ち騒ぎ万の白兎が跳んでいるようだ。
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炉の埃天井遊泳して落ちず
炉の埃天井遊泳して落ちず みのる
真っ白な仙人髭をたずさえたあるじは卆寿だという。
ダム建設で水底となる旧家が移築され千年家史跡として公開されている。煤光りする大きな梁、両手で一抱えしても足りないほどの大黒柱、その柱についている刀傷には謂れがあるという。 広い板畳の部屋の真ん中には泰然と大炉があって、いにしえの生活ぶりを偲ばせてくれる。
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