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時計台聖夜の針を重ねけり
時計台聖夜の針を重ねけり みのる
聖歌隊が「ハレルヤ」と歌いおさめるとやがて手に手にペンライトを持ってキャロリングに出発する。星空高く聖夜を刻む天文台の大時計を仰ぐととても満たされた気分になり手足の悴むのも忘れる。
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黙祷の一分間や蝉時雨
黙祷の一分間や蝉時雨 みのる
わたしの妻は被爆二世である。
帰省ついでにときどき平和公園を訪れて鎮魂碑を巡る。半世紀を経て美しい緑の楽園となった公園には観光客や修学旅行生たちが屯している。
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異な草と抜きて吾妹に叱らるる
異な草と抜きて吾妹に叱らるる みのる
夕べのはげしい雨が嘘のように晴れた。
目を覚ますと妻は庭の草引きに余念がない。「手伝って!」と促されて渋々庭へ出る。蒔かず肥料もやらないのにどうして草はこんなに元気がいいのだろう・・・ などと余計なことを考えていると突然悲鳴が上がった。 どうやら抜いてはいけないものまで引いてしまったらしい。
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不即不離心得てをり道をしへ
不即不離心得てをり道をしへ みのる
人間関係はガラス細工のようにもろい。ちょっとした誤解や行違いで直ぐに壊れる。特に信頼していた人に裏切られたときどうしようもないほど哀しくなる。
傷心を慰めようと山道を散策していると斑猫に出会った。近ずくと「合点!」と2、3メートル先へジャンプしては振り向く。繰り返されるその動作はまるで人付き合いの極意を教えてくれているようで、 じっと見ているうちになんだか拘りが消えてきて塞いだ気持ちが和んできた。
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啓蟄の大地漫画の描かれけり
啓蟄の大地漫画の描かれけり みのる
昨今は漫画隆盛の時代となった。私達はタンクローやノラクロに夢を馳せた世代である。今ならさしずめドラエモンやピカチューであろうか。
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